我が国が行うゲリラおよび特殊部隊による攻撃への対処のあり方に関する提言
世界の数多くの国が特殊部隊を保有しているが、その実態は秘密のベールに包まれて詳らかではない。真偽のほどは定かではないが、別冊宝島が紹介している世界最強の10傑は次の通りである。
1 はじめに:21世紀は特殊部隊の時代!
(1)SAS(英)
(2)グリーンベレー(米)
(3)デルタフォース(米)
(4)SEALs(米)
(5)フォース・リーコン(米)
(6)COS(仏)
(7)GIGN(仏)
(8)コブラ(墺)
(9)GSG-9(独)
(10)アルファ(露)である。
特殊部隊が一躍脚光を浴びたのは、アフガンにおける「不朽の自由作戦」と「イラク戦争」である。特殊部隊が発信した正確なターゲット情報に対して長距離巡航ミサイルのピンポイント爆撃が見事に成功したことを記憶しておられよう。
目次
- 1. はじめに:21世紀は特殊部隊の時代!
- 2. 我が国が直面する脅威(脅威3様と非対称戦戦力)
- (1)日本の地政学的地位と脅威3様
- (2)関係国の特殊部隊の状況
- (3)我が国のゲリラ戦などの形態
- 3. 戦史に見るゲリラや特殊部隊の脅威
- (1)列国のゲリ・コマ攻撃対処と日本の防衛作戦に参考となる戦例
- (2)江陵事案(韓国東海岸北朝鮮潜水艦浸透挑発事件)の概要
- 4. ゲリラや特殊部隊の行動様相
- (1)作戦目的すなわち特殊部隊の狙いは何か?
- (2)彼らの作戦構想は?
- (3)行動要領は?
- 5. 我が国はいかに対応すべきか
- (1)対応の基本
- (2)水際阻止
- (3)重要警護対象の警備
- (4)捜索・撃滅作戦
- (5)軍・官・民の連携
- (6)国民保護について
- (7)国家の司令塔の適切な状況判断
- (8)自衛隊はどうあるべきか
- (9)ゲリラや特殊部隊の攻撃に強い国を創るには!
- 6. おわりに
今や、特殊部隊の存在抜きに現代の戦いを語ることはできない。特殊部隊には、軍隊系と国内における対テロ活動や人質救出作戦を任務とする警察系があると言われている。本稿では軍隊系を取り上げることとする。
なお参考までに、日本の特殊部隊として巷間言われるのは、次の部隊がある。
(1)SAT(警察庁・警視庁特殊急襲部隊)
(2)SIT(警察本部刑事部捜査1課特殊捜査班)
(3)原子力関連施設警戒隊
(4)SST(海上保安庁特殊警備隊)
(5)SBU(海上自衛隊特別警備隊)
(6)陸上自衛隊特殊作戦群
(7)航空自衛隊(基地警備隊、基地防衛教導隊)
もっともこの中で、空自の基地警備隊を特殊部隊と称するかどうかには異論もあるのだろうが・・・。
世界各国が特殊部隊を保有し、脅威となりうる国はその増強に血道を上げている現実から、我が国は防衛作戦あるいはそれに至る以前の段階から、ゲリラや特殊部隊あるいは、それらを支援する(武装)工作員に、向き合い、彼らに勝利しなければならない。
以下本論において、ゲリラや特殊部隊による攻撃の実態と、我が国として対ゲリラ・対特殊部隊作戦のためにいかなる態勢を構築すべきかを明らかにしたい。