仏北部の教会で人質1人死亡、襲撃犯2人は警察が殺害

フランス北部ルーアン近郊にある教会に7月26日、ナイフを持った2人組が押し入り、人質となった司祭1人が殺害された。事件の現場となった教会に駆け付けた警察官ら(2016年7月26日撮影)。(c)AFP/CHARLY TRIBALLEAU〔AFPBB News

 ニースでの「トラック突入テロ」(85人死亡、約200人が重軽傷)の衝撃も冷めやらぬ7月26日、フランス北部ルーアン近くの小村で、ミサ中の84歳の神父が惨殺される事件が発生した。昨年に続き2016年もフランスはテロに明け暮れそうだ。

 両事件とも「イスラム国(IS)」が犯行声明を出している。フランス人の間では対IS戦の機運が一気に高まった。

「国家警備隊」参加の呼びかけに国民が殺到

 2015年1月7日に「シャルリ・エブド襲撃事件」が発生してからルーアン近郊の神父惨殺まで、フランスにおけるテロの犠牲者は死亡者230人、重軽傷者は数百人に達した。

 オランド大統領は昨年11月13日のパリ同時テロ(死者130人、重軽負傷者数約300人)の直後に、国軍、国家憲兵隊、警察の予備員を結集する「国家警備隊」の創設を発表している。今回のニースとルーアン近郊での2つのテロ事件を受けて、オランド大統領は改めて2016年末までに同隊を発足させることと、その具体的な内容を発表した。

 国家警備隊創設の目的は、「短期養成によって緊急時に役立つ要員の確保と短期間の動員」である。政府はすでに1憶6500万ユーロ(約198億円)の特別補正予算も組んでいる。

 まず、国軍の予備隊増員についてだが、現在、フランスには退役兵士など2万8000人で構成された予備軍がある。この人員を2018年までに4万人に増員する。

 対象となるのは、旧兵士のほかに(1)17歳から35歳までの若年層、(2)学力、体力テストなどの選抜試験の合格者、(3)1カ月に2週間、軍事や救援訓練、あるいは情報操作の習得に従事できる全国民、である。