英国の特異性とは?ロンドンのビッグベン(資料写真)

 EU脱退の可否を決める英国の国民投票において、脱退が過半数を占める結果となったことに世界中が衝撃を受けた。

 EUは、2度の世界大戦で主戦場となった欧州において戦争からの永遠の離別を目的に発足し、加盟国が増加している。そのEUから脱退するとの英国民の判断に、世界が驚愕した。

 一方、実は英国という国は先進国の中でも非常に特異な国であると言える。英国の政治、経済、社会、それぞれの面での特異性についてまとめてみたい。

全世界の陸地の4分の1を占めた大英帝国

 英国は、歴史的にはイングランドを中心とする王国が、スコットランド、アイルランドの他、大陸の諸王国との間で、数多くの戦争を経験し、その過程で王室の課税権などに対する制限を貴族、議会等が持ちながら発展した国である。

 16世紀以降は海洋国家として海外進出・領土獲得を進め、最盛期の19世紀後半から20世紀初頭には、植民地・海外領土は全世界の陸地面積の4分の1に達したとされる。そのため、大英帝国は「太陽の没するところのない国」と言われた。

 17世紀半ばに清教徒革命が発生し、一時共和制となったが、その後、王政復古がなされている。また、名誉革命が発生しているが、王政が途絶えたのは一時的であり、その間でも貴族は没落していないという特殊な歴史を持っている。18世紀後半には産業革命が英国で発生し中流階級が生まれたとされているが、貴族等の上流階級はそのまま存続した。