種子島宇宙センターからH2Aロケットが打ち上げられる様子(資料写真、出所:Wikimedia Commmons

 周回軌道に投入後、異常な回転を起こし破壊されてしまったX線天文衛星「ひとみ」について、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が報告書を取りまとめた。

 最大かつ直接的な原因はデータ入力に関する人為的なミスなのだが、背後には、社会のIT化という、大きな問題が横たわっており、報告書もそれを半ば認める内容となっている。これは、日本におけるもの作りのあり方や、ひいては、日本企業のビジネスモデルにもつながる話であり、多くの人にとって共有すべき話題である。

機体はバラバラに破壊され、一部は地上に落下

「ひとみ(ASTRO-H)」は、世界最高の観測性能を持つ宇宙X線観測用衛星である。ひとみを運用することで、ブラックホールをはじめとする、宇宙の進化に関連する研究が進むことが期待されていた。ちなみに、ひとみの開発には約300億円の国費が投入されている。

X線天文衛星「ひとみ」のイラスト(出所:JAXA、プレス向け資料より)
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