文部科学省では、社会の第一線で活躍できる専門的職業人を育成するために、先進的な卓越した取り組みを行う専門高校を指定して研究開発を行う「スーパー・プロフェッショナル・ハイスクール(SPH)」事業を実施している。
これは工業・農業・商業・水産・福祉・家庭・看護といった学科を持つ専門高校において、大学・研究機関・企業等との連携強化により、社会の変化や産業の動向などに対応できる高度な知識・技能を身に付けた人材を育成する取り組みだ。
本事業は平成26年度にスタート。27年度には全国から51校(公立47校、私立4校)の応募があり、うち新規採択校として10校が指定された。指定期間は、3年間または5年間となっている。果たしてその間、具体的にどのような取り組みが行われ、どのような成果が得られるのだろうか。事例を通じてご紹介しよう。
授業の一環として株式会社を経営
今年2月、岐阜県立岐阜商業高校は、生徒主体で運営する株式会社「GIFUSHO」を設立した。高校による会社登記は全国で2例目。全校生徒約1200人が1株2千円ずつ出資し、株主となって、食品メーカーと共同で商品開発を進めたり、さらにタオル・Tシャツなどの学校のオリジナルグッズの企画販売や、ネット通販などを行う。実際の企業経営を通じて、生徒たちに会社経営・ビジネスの仕組みを理解してもらうのが目的だ。
取締役には同校卒業生やPTA役員が就任。最高経営責任者(CEO)は生徒の中から決め、企業化を進めてきたLOB(リーダー・オブ・ビジネス)部が社内を調整するという。経営は生徒に委ね、事業は主に3年生が中心となって授業の一環として取り組んでいく。
資本金10万円は卒業生が出資。この4月に全校生徒から資金を調達して、増資する予定だが、生徒は株主にはなるものの、現金配当は受け取らず、利益は授業の実習費に充てるなど間接的な還元方法が考えられている。2016年12月期決算では、営業利益100万円を目指すそうだ。