安倍首相主催の「桜を見る会」1万6000人招待

安倍晋三首相主催の「桜を見る会」で記念撮影する首相夫妻(中央)と招待客(2016年4月9日撮影、資料写真)。(c)AFP/TORU YAMANAKA〔AFPBB News

 5月18日に発表された今年1~3月期の実質成長率は、うるう年の影響を除くと0.1%。2015年度の通期では0.8%と、民主党政権時代の2012年を下回る。同時に発表されたGDPデフレーター(物価上昇率)も低下が続いて0.1%とゼロに近づき、安倍首相も「アベノミクス」と言わなくなった。

 首相が政治生命をかけた安保法制も、憲法審査会で自民党の参考人が「憲法違反だ」と述べたおかげで、国会は大混乱になった。しかし内閣支持率は50%を超え、安定している。

 なぜ政策は失敗続きなのに、「安倍一強」と言われるのだろうか?

民主党の「政治主導」はなぜ失敗したのか

 いちばん簡単な答は、「野党がだめだから」ということだろう。民進党は夏の参議院選挙に生き残るために共産党と共闘し、「安保法の廃止」や「消費増税の再延期」など無責任な政策を掲げる万年野党に回帰している。それがどういう運命をたどるかは、昔の社会党をみれば分かる。

 もう1つは、小選挙区制の効果がようやく出てきて、派閥の力が弱まったことだ。中選挙区制の時代には派閥が選挙とカネの面倒をみたので、党執行部の指導力が弱かったが、派閥を無視して組閣した小泉内閣あたりから総裁や幹事長の権限が強まった。

 しかし「意思決定の政府への一元化」を公約した民主党政権は党内抗争で空中分解し、事務次官会議を廃止して「政治主導」で政務三役が命令しても、官僚は言うことを聞かなかった。1年ぐらいで交替する閣僚の言うことより、役所の決定が最優先だからである。

 省内の人事も大臣官房の秘書課が決め、事務次官が大臣の承認を受ける。法的には大臣に人事権があるが、拒否権を行使することはまずなく、たまにあると大事件になる。したがって実質的な最終決定者は事務次官であり、人事は官僚機構の中で完結していた。