(1)状況を冷静に分析して、閉じ込められた事実を冷静に認識、命綱であるシェルターに僅かに備蓄されていた食料や水を如何に長く持たせるかを計画した(48時間で小さじ2杯分のマグロの缶詰と牛乳半カップを配給する)
(2)さらなる落盤に備え、交代で見張りを立てた。
(3)地下避難所から通じる約2キロのトンネルを、寝る場所、食事をする場所など3つに区分して生活。
(4)24時間3シフト制の確立 個々の持ち味を生かした役割を担当。健康管理、精神的ケア担当、盛り上げ役、祈り担当、規律係などなど。
(5)落盤事故発生直後は、大量の粉塵のため視界が不良であり、状況把握に手間取ったとのことであるが、リーダーとしての責任感の強さが感得される。
(6)地上から食料が届くようになって以降、体調管理を考慮した食事の実施。
(7)同じ現場で働く33人ではあっても、お互いよく知らず、当初はいくつかのグループに分かれていた。もめ事もあり、殴り合いになることもあったという。
一部の作業員が脱出を試み、現場が混乱したこともあったという(然もありなん)。しかし、現場監督の励ましにより次第に強い友情が生まれ、団結していった。
(8)難破船から最後に離船するのは、船長であり、彼もその例に漏れなかった。
絶望の淵に立っている作業員に生存への希望を抱かせるものは、リーダーに対する信頼にほかならない。
「助けは必ず来る、絶対に希望を失うな」と自信を持って作業員を説得できるリーダーの存在が、彼らに生存への夢・希望を抱かせる。しからば、リーダーは何に依拠して部下にそのような希望を抱かせ得るのか?
地下深くにいて作業に従事する者と地上にいる者との強固な絆ではなかろうか?
地上の奴らは、万難を排して我々を救出してくれるはずであるとの信頼なくして鉱山作業に従事し得ない。現場監督たる者、最悪の場合に何をなすべきか、地上ではいかなる行動を取るか、地下にある者は何をすべきかを常にシミュレーションしている。
オーナーは事故発生後、9日間も雲隠れしたとの報道もあるが、事実とすれば由々しき事態である。責任放棄も甚だしい。人非人と呼ばずして何と呼べばいいのか。


