そもそもインドでは小売り事業を禁止

 アマゾンのインド事業は同国の規制を回避するため、米国や日本で展開しているような事業モデルと異なっている。インドでは同社のような外国資本の電子商取引企業には、自ら商品を仕入れて販売する小売り事業が許されていないからだ。

 インドにおける小売業の外資規制については、以前、米アップルのような単一ブランドの企業は30%の製品、部品をインド企業から調達しなければならないと報じられた

 アップルの小売り事業は「シングルブランド・リテール」に分類され、このような規制が設けられているが、これに対し、アマゾンの電子商取引事業は「マルチブランド・リテール」に分類される。

 そして同社のインド子会社のような外資比率が51%を超える企業は、このマルチブランド・リテールが禁止されているのだ

 そこで同社は、自ら商品を仕入れ、販売するのではなく、出店者と消費者を仲介するマーケットプレイス事業を展開している。

 現地の小売業者に対し、ウェブサイトなどの電子商取引インフラや、倉庫、物流ネットワークといったロジスティック業務を代行するサービスを提供し、その料金を得ているのだ。

 このうち後者はアマゾンが「Fulfillment by Amazon(FBA)」と呼ぶサービスで、同社は昨年、その利用が大幅に増えたと発表していた。とりわけインドでは、FBAを利用する商品の数が前年から3倍以上になったという。

困難な道のり、待ち受ける

 なお、このほかインドでは新たに、アマゾンのような電子商取引サイト(マーケットプレイス事業)は、出店者が決定する価格について影響力を行使してはならない、という規則も設けられた。

 こうしたインド当局による規制強化を受け、アマゾンは今後どのような策を講じればよいのだろうか。

 ニューヨーク・タイムズはこれについて、今後アマゾンはさらに多くのインド企業と合弁事業を設立し、前述のクラウドテールのような特定の1社に依存しないビジネスモデルを構築する必要があると伝えている。

 いずれにしても、政府方針を予測することが極めて困難なインドのような海外市場は、成長機会を追求するアマゾンのような企業にとって悩ましい問題だと、同紙の別の記事は伝えている。