セブン&アイ・ホールディングスに逆風が吹いている。同社の祖業であり、かつてはグループの屋台骨だった「イトーヨーカドー」(セブン&アイの子会社であるイトーヨーカ堂が運営)の業績が低迷しているからである。
もっとも、大型スーパーという業態が時代に合わなくなっているのは他社も同じであり、コンビニという代替手段を持っていたセブン&アイは、こうした問題が顕在化するのが遅くなっただけに過ぎない。
かつて大型スーパーは「流通革命」の担い手として、日本の閉鎖的な市場に風穴を開けることが期待されたビジネスだった。だが本格的チェーンストアの普及が実現する前に、日本経済は縮小フェーズに入ってしまい、規模の拡大どころか、その存在すら危うくなりつつある。
米国ファンドはヨーカ堂の分離を提案
セブン&アイは3月8日、傘下の大型スーパーであるイトーヨーカドーについて20店舗を閉鎖すると発表した。全店舗の2割にあたる40店舗を2020年までに閉鎖する方針が示されていたが、前倒しで閉鎖を実施する。
同社がヨーカ堂のリストラを加速させているのは、同店の業績不振が鮮明になっているからである。2015年度第3四半期(2016年3~11月)におけるヨーカ堂の決算は144億円の営業赤字となっており、通期の決算も赤字になる可能性が高い。グループ全体の営業利益の見通しは3670億円の黒字だが、このままヨーカ堂の業績不振が続けば、グループ全体の足かせとなってしまう。