私が起業をした理由の1つは、そのままサラリーマンを続けるのはある意味で「危険」だと考えたからです。

 大企業でサラリーマンを続け、定年退職をして悠々自適という、安泰に見える「当たり前の」人生計画がなぜ危険なのでしょうか。考えてみましょう。

平均寿命、30年後には100歳に?

 2015年1月にNHKが放映した「NEXT WORLD 私たちの未来 第2回『寿命はどこまで延びるのか』」では、世界中の多くの研究者が今後30年程度で平均寿命が100歳になるかもしれないと予測していました。

 本当にそこまでいくかどうかは不確定要素もありますが、医学の進歩により平均寿命は年々伸びており、今後も伸びるトレンドにあることは間違いありません。あなたが100歳まであるいはもっと長く生きてしまう確率は、高まっているのです。

「いや、自分は80歳で死ぬから良いんだ」とかそういう話ではありません。これは「長く生きるリスク」です。

 長生きは基本的には人生にとっては良いことですが、経済的には大きなリスクです。あなたは100歳まで生きるために十分な資産を、定年退職までに準備することができますか。

年金の受け取りは期待できない

 今の若い人が受け取ることのできる年金額についてはさまざまな議論がありますが、財源を考えれば明らかに、それだけで生活できる程の十分な金額を受け取ることはもはや不可能です。

 平均寿命が伸びれば受給対象者が増え、一方で収入の方は増えませんから、みるみるうちにこの仕組みは崩壊します。

 これだけ高齢化が進む中で、働き手が老人を支える「賦課(ふか)方式」を維持しようとすることに無理があります。

 かといって、いまさら自身の分を自分で負担する「積み立て方式」に移行するにも莫大な財源が必要になりますから、どうやっても制度は維持できません。