人口減少社会の救世主として、働く「なでしこ」に注目が集まっている。経済産業省と東京証券取引所は、「女性のキャリア支援」や「仕事と家庭の両立支援」に経営層がコミットしつつ、財務パフォーマンスを高く維持している企業を「なでしこ銘柄」に選定し表彰している。
こうした動きに呼応する形で、女性登用の程度・ダイバーシティへの取り組みなど非財務情報(有価証券報告書などで開示されない情報)に対する投資家の関心も高まっている。しかし、皮(fig leaf)を1枚めくると、異なる姿が見えてくる。
「保育園落ちた日本死ね!!!」。
これは保育園の入園審査に落ちたある女性が、「はてな匿名ダイアリー」に書き込んだ魂の叫びである(http://anond.hatelabo.jp/20160215171759)。不穏当な表現ではあるが、保活(入園可能な保育園を探す活動)の厳しい現実に直面しているワーキングマザーの共感を呼び、ネット上で大きな反響を呼んでいる。ロックバンド「GLAY」のボーカリスト、TERUも自身のTwitterでこの投稿に賛意を示しており、2月29日には衆議院の予算委員会で議論の俎上に上るまでになった。
政府が企図するように出産後の女性を企業の戦力とするには、子育て支援の仕組みが不可欠である。そこで本稿では、ワーキングマザーの就業をソフト面で支援する保育士がどの程度偏在しているか事実を整理し、いまの日本が抱えている課題を浮き彫りにしてみたい。