日本では、ここしばらく中国経済崩壊論を唱える論者が少なくない。だが、中国経済はいまだに崩壊していない。
中国政府は自国の経済システムを「社会主義市場経済」と定義している。社会主義と市場経済はいわば水と油の関係にある。そのなかで中国経済は成長を続けてきた。2010年までの30年間で中国経済は年平均10%も成長し、2010年にその経済規模は日本を追い抜いて世界第2位となった。
「中国経済は言われているほど順調に発展していない」と言う論者もいる。中国のマクロ経済統計が信用できないというのだ。しかし時系列でみた場合、中国経済が発展していることは確かだ。もし中国経済が発展していなければ、主要国に対して中国経済の減速はここまで影響を及ぼさないはずである。
国際社会が注意しなければならないのは、中国はその全体の規模が大きいため、周辺諸国に及ぼす影響はその実力以上に大きいということである。今、国際社会は中国の台頭を脅威と受け止めているが、中国の経済発展が挫折した場合の影響も大きい。中国経済と世界経済の相互依存関係は、国際貿易と国際投資を通じて予想以上に強化されている。中国経済の減速は世界経済の発展を押し下げていく可能性が大きい。