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 2025年には団塊の世代が75歳を超え、65歳以上の5人に1人が認知症になると言われている。行政はこの問題にどう取り組もうとしているのか。また団塊の世代や高齢者を身近にもつ私たちは、どう向き合ったらいいのだろうか?

新オレンジプランと介護

 2015年1月27日、厚生労働省では2025(平成37)年を見据え、新たに「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~」を関係府省庁と共同で策定した。

 認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で、自分らしく暮らし続けることができる社会の実現を目指したものだ。以下の7つの柱に 沿って、総合的に施策を推進していくとのことである。

(1) 認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進
(2) 認知症の容態に応じた適時・適切な医療・介護等の提供
(3) 若年性認知症施策の強化
(4) 認知症の人の介護者への支援
(5) 認知症の人を含む高齢者にやさしい地域づくりの推進
(6) 認知症の予防法、診断法、治療法、リハビリテーションモデル、介護モデル等の研究開発及びその成果の普及の推進
(7) 認知症の人やその家族の視点の重視

 この新オレンジプランを一言でいえば、“行政だけの力では認知症の方々にとって住みやすい社会にすることはできない。どうか地域の皆さん、ご家族で認知症の方々と共存した住みやすい社会を目指しましょう”ということだろう。

 言葉は立派でも、現実は、掛け声や政策だけではそう簡単に物事は進まない。超高齢化社会の今、認知症の問題はその社会に住む人たち、介護する側、ご家族、本人の死生観の問題になろうとしており、真剣に介護の問題に向き合う必要がある。

 今回は4つ目の柱である「認知症の人の介護者への支援」について、その現状についてみていきたい。

介護の毒は“孤独”

 いま家庭や介護施設における高齢者の虐待が大きな問題となっている。

 介護は誇りある仕事だ。しかし、介護の相手が肉親、他人にかかわらず、精神的にも、肉体的にも過酷な仕事であることは否めない。昼夜を問わず、ましてや深夜となればその辛さはなおさらだ。他の人の「助けになりたい」といった崇高な気持ちや理想はだけでは、どんな相手であろうが介護を長期に続けることは難しい。

 とくに、在宅という閉鎖空間で、認知症の方を介護するのは終わりが見えない。理想通りにはいかない介護の現実が、大きなストレスとなって、介護者の心の中に闇をもたらす。