2016年は7月に参院選が予定されており、衆参同日選も取りざたされている。ちょうどいまの時期は2015年の経済データが出そろう頃でもある。本稿では我々の実生活、そして社会の安定と密接な関係がある雇用のデータにフォーカスして、有権者が地域の問題を考える際のよすがとしたい。
「総論の総論」の景気
2月15日に2015年10~12月期の実質GDP(1次速報)が公表され、前期比年率1.4%減と2四半期連続ぶりのマイナス成長となった。原油安を発端に年初から株価や為替が乱高下しているが、「雇用所得の改善や消費税増税前の駆け込み需要を支えに、2016年度は緩やかな回復経路を歩む」というのがエコノミストのコンセンサスのようである。
日銀が1月18日に公表した地域経済報告(さくらレポート)においても、関西地域の判断こそ引き下げられたが、東海地域の判断は引き上げられ、残りの地域では景気の改善度合いに関する判断は変更されなかった。「日本経済は足踏み状態にあるが、景気後退局面に入ったわけではない」というのがレポートの含意だろう。
1月29日の金融政策決定会合における政策委員見通し(中央値)をみても、2015年度の実質GDPは1.1%増、2016年度は1.5%増と緩やかな回復が想定されている。