自治体病院のハコモノ建設費は、民間よりも圧倒的に高いと言われています。どうして高くなるのでしょうか。それは、将来どのように影響を及ぼすのでしょうか。自治体病院が経営不安に陥ったとき、誰が助けてくれるのでしょうか。
すべての結果に最終責任を持つのは、地域住民なのです――。
国も問題視するが・・・
過去に自治体病院共済会が調査したところによると、公立病院は民間病院に比べて、建設費が2倍になると言われています。
自治体病院を指導監督する総務省でも、自治体病院の建設コスト増について気にかけており、平成27(2015)年3月に公表した新公立病院改革ガイドラインでは、病院施設・設備整備費を抑制すべきとしています。以下、引用です。
「建築単価の抑制を図るとともに、近年の建設費上昇の動向を踏まえた整備時期の検討、民間病院・公的病院の状況も踏まえた整備面積の精査等により整備費の抑制に取り組むべきである。また、病院施設・整備に際しては、整備費のみならず供用開始後の維持管理費の抑制を図ることも重要」
平成27年10月には同Q&Aで、建築単価の上限単価を36万円/m2とすべきと公表しました。
しかし、最近では、北茨城市民病院が2014年末に建替・再オープンし、その建設コストは3820万円/床と、自治体病院共済会調査の民間病院平均1600万円/床・公立病院平均3300万円/床を、いずれも超えるものでした。
総務省の定める上限36万円/m2さえも、はるかに超える51万円/m2でした。今後も、松戸市立病院やいわき市立総合磐城共立病院の建替工事が進行中です。
松戸市立病院は、4467万円/床、57万円/m2で、いわき市立総合磐城共立病院は、5743万円/床、62万円/m2で、いずれの建設工事も異次元のコスト増になるようです。
総務省は自治体病院の建設費を「民間病院並みの水準」とするよう指示しているのに、どうしてこんなことになるでしょうか。なぜ公立は民間に比べ圧倒的なコスト増となるのか、なぜ歯止めが効かないのでしょうか。