世の中には「健康診断を受けたことがないけど健康です」という人がいる。(写真はイメージ)

自覚症状がなくても受けるのが人間ドック

「最近調子が悪い」とか「病院に行くほどではないが不調がある」といったとき、人間ドックに行けば詳しく調べてもらえるのでしょうか?

 答えは「ノー」です。そもそも人間ドックや健康診断、がん検診というのは「自覚症状がない人の病気を見つける」ために行うものです。

 具体的な病名でいうと、高血圧や脂質異常症、初期の糖尿病、肝機能障害、初期のがんなど、自覚症状がないのにすでに発症している病気を見つけるのが目的です。たとえ軽くても症状があるなら、人間ドックではなく病院(医院、クリニック、診療所も病院とします)に行くべきです。

 また人間ドックや健康診断で行われている検査は、すべての病気に対応していません。症状から想定される病気を見つけるための検査が含まれていないこともあります。自覚症状があるのに、人間ドックで異常がなかったからといって、病気の疑いが晴れたということにはならないのです。

 さらに、年齢や性別によって受ける検査は異なります。例えば、20~30代の乳がん検診は、受ける意味がほとんどありません。20~30代で乳がんを発症する可能性はゼロではありませんが、確率的にはきわめて低いですし、むしろマンモグラフィーによる放射線被曝のリスクがあります。放射線被曝も乳がん発症のリスクの1つであることを考慮すれば、40歳以下の乳がん検診は必要ありません。

健康診断、人間ドックは受ける意味がない?

 では健康診断、人間ドックは受ける意味がないのでしょうか?