中国 遼寧省 営口市、新幹線が停まる駅のホームにて(筆者撮影)

 年明けから世界の金融市場が混乱し、その原因として中国経済の不振が挙げられている。不振の原因は過剰投資にあるとされ、特に2008年のリーマンショックへの対応として行われた「4兆元(約60兆円)」対策の影響が大きいと言われる。

 筆者は昨年(2015年)11月に大連の北方約200キロメートルに位置する営口を訪ねた。それについては既に「中国のゴーストタウンで見た官制バブルのなれの果て」と題して報告したが、年初来、中国の過剰投資が金融市場で大きな問題になっているために、もう一度、過剰投資問題に絞って報告してみたい。

閑散とした農村の新幹線

 冒頭の写真は営口市の北の外れに作られた新幹線の駅の様子だ。朝9時頃の写真である。PM2.5が混じった朝靄がかかっているために周囲はよく見えないが、周囲は農村である。

 農村の中に突然、新幹線の駅が出現したといった感じ。この写真は列車が入線する5分ほど前に撮影したものだが、ホームは閑散としている。反対側のホームに人影は見えない。

 車両は日本の新幹線によく似ており、乗り心地はよかった。ただ、1時間に1本程度の運行なのに車内はすいていた。大連まで新幹線で1時間、在来線でも3時間程度であろう。

 多忙なビジネスマンが多く乗っているわけでもなく、小さな子どもを連れた母親が移動している様子を見ていると、在来線でも十分ではなかったのかと思われる。ただ、写真からも分かると思うが、駅舎はなかなかモダンな造りであり、駅舎だけを見れば中国も立派な先進国である。