ICTの進展により企業経営がガラス張りになる「透明化社会」において、顧客に選ばれ続ける企業になるためには、確固とした経営理念・経営哲学が不可欠だ。
今回は、経営理念の目指す方向性が、地域社会への貢献と軌道を一にしている会社2社をご紹介しよう。
縮小するパイの奪い合い
我が国の人口は2008年をピークに減少しつつある。NRI(野村総合研究所)顧問である増田寛也元総務相が座長を務める日本創生会議は、昨年(2015年)5月、2040年の「消滅可能自治体」896を発表し、人口減少問題に一石を投じた。
*参考資料:日本創生会議「人口再生産力に着目した市区町村別将来推計人口について」
自分が生まれ育った町が消滅するかもしれないということを突きつけられたことで、国まかせではなく、当該自治体の産学官が正しい危機感を持ち、抜本的な対策の検討を始めるきっかけとなった。
とはいえ、人口減少を食い止めるための取り組みは、成果が出るまでに10~20年という年月を要する。
故に、縮小するパイの中で自社のシェアを高める、あるいは、域外、海外進出等他のパイを取りに行くことを選択し、パイそのものを大きくするということは選択しづらいのが現実だ。
「全従業員を人生の勝利者に」
高知県は、全国でも人口減少が最も深刻な自治体の1つだ。
高知市のネッツトヨタ南国(以下、ネッツ南国)は、全国のトヨタ販売会社の中で、お客様満足度ナンバーワンを13年連続達成しているディーラーだ。
少子化と若者のクルマ離れが進行し、多くのディーラーが苦戦する中、同社は堅調に業績を伸ばし続けているのだ。