(写真はイメージ)

「精神的に一番大切にしているものは何ですか?」

 そう問われた時、貴方は何と答えるのだろうか。私も自分自身に問いかけ、時々考えている。

 人はその時々でさまざまな境遇があり、幸不幸があり、運不運がある。その状態により、一番大切な精神的支柱は変化するものなのかもしれない。しかし私にとって間違いなく大切なものの最上位にあり続けるもの、「精神の自由」を今回のテーマにしたいと思う。

転職を決意させたもの

 大そうなテーマである。書くのに逡巡してしまうが、高邁な思想を展開できるはずもなく、普段着のそれである。

 精神の自由を感じている時、人は楽しく活発になる。頭も身体もうまく回転して清々しい感じだ。その逆の場合、身体も心も硬直して顔つきも悪くなってしまう。精神的に自由でないと感じた時に、塞ぎ込んでしまいメンタルにきてしまうケースもある。

 何かを達成した後や満足を得た後に精神の自由を感ずるかというと、必ずしもそうでもない。むしろ逆境の中でも、それを保持し続ける方々がいる。

 この「精神の自由」とは誠に興味深く、45歳前の初の転職時ごろからずっと気になっていた。私にとっては考え続けなければならない重要なテーマである。

 この仕事を選んだのもその影響がある。前職ではIT産業に20年以上在籍した。ある立場となり、経営会議にも頻繁に呼ばれるようになった頃、社内のポリティックスに引きずり回され、顧客に眼を向ける時間がほとんど取れなくなった。

 プレッシャーもあったのだろう。ある時、妻に「最近顔つきが悪くなったよ」と言われ、「これはいかん!」と転職を決意した。嘘のような本当の話である。