私は小学校の頃、図工は苦手でいつも2か3だった。ルーブル美術館に行っても、ここに何日も通って美術を鑑賞するという方々の心情が分からなかった。
しかし、最近見たテレビのドキュメント番組で、経営者がコンセプトをデッサンノートに次々と書き下ろす姿に触発され、6Bの太い芯の入った鉛筆ホルダーとクロッキーノートを購入した。
デッサンという行為に興味を持ったからである。物事の構造を理解するために、対象をよく観察しデッサンする。各構成要素に分解し、それぞれの役割と何故そこにあるのか、その関係性を考える。
デッサンすることは「物事の構造化」そのものであり、考えることの原点だ、ということに気付いたからである。人はものを考える時、ペンをとるという。文字や図形に展開し、考えがある程度まとまると、それを「コンセプト」と呼んだりする。
そして、無形のサービスでビジネスをする比率が高まるほど、コンセプトを顧客の価値に連動させ、理解してもらう重要度が飛躍的に高まるのである。
デッサンの対象
デッサンする対象は、実際に見えるTangibleなもの、実際には見えないIntangibleなもの、すなわちコンセプトやビジネスモデル、技術の熟達のプロセスにまで包含している。
クロッキーというデッサン専用ノートは、少しザラザラ感のある白紙のノートで、素早いスケッチのためにある。事務用の罫線入りのノートを使い続けてきた私には、白紙の画用紙は大変新鮮であった。6Bの鉛筆は良く滑り白紙は開放感がある。