世界の富裕層と貧困層の格差、過去最大レベルに OECD報告

メキシコ・メキシコ市の貧困層の居住エリアとそのすぐそばで建設が進められている高級住宅マンション〔AFPBB News

 寒さも増し、年も押し迫ると、街はショッピングバッグを抱えた人であふれかえる。ボーナスセール、クリスマスバーゲン、歳末大売出し、福袋・・・。

 日本では商戦は12月半ば頃から本格化するが、米国では11月第4木曜日の感謝祭の翌日に一年で最も売れる日「ブラックフライデー」(今年は11月27日)が訪れ、ホリデーシーズン商戦が始まる。

 そんなブラックフライデーのショッピングモールの狂騒を「Mallmania」「Shopping Frenzy」などと評し伝えるテレビ映像を映し出しているのが、現在劇場公開中の『ザ・トゥルー・コスト ファストファッション 真の代償』(2015)。

 「早くて安い」ファストファッションのサプライチェーンを検証することで、衣服というものについてあらためて考えさせるドキュメンタリーだ。

リサイクルで売れるのは10%

 それまでの季節モデルから、一年中コンスタントに新商品を投入するファストファッションは、価格が抑えられていることもあって、「ゆっくり考えてから」という意識が働きにくく、ファッションにあまり興味がなくても、いつの間にか量がかさんでいる。

 そして、クローゼットで眠りにつき、やがて、安価だからと、抵抗少なく捨てられる。

 心ある者は、寄付やリサイクルに回すだろう。しかし、そうしても、そのまま配られることは少なく、売却利益を取るのが主流。売れるのは10%ほどで、残りは再生処理される。

 さらに使い切れないものは埋立地行き。ポリエステルを多く含む廃棄物は200年以上埋立地に残り、有害物質も放出する。

 映画は、多くが米国発の衣服の山、通称「ペペ」の存在が、自国の服飾市場を侵食しているハイチの現状をリポートする。結果、安いTシャツを作り、米国に輸出することになっていることも。

 米国で購入される衣服の国内生産はいまや2~3%たらず。もちろん生産国となる発展途上国はコストの安さで選ばれる。服飾工場労働者300万人というバングラデシュは、そんな国の1つである。