ある半導体業界誌の記者から、「中国の紫光集団という企業がルネサスエレクトロニクス買収を画策しているようだが、この行方についてどう思うか?」という問い合わせを受けた。
私は次のように回答した。「このような買収は、トヨタが阻止するのではないか。トヨタはルネサスから車載半導体マイコンを極めて安価に調達しており(「不当」なほど安価と言ってもよい)、そのマイコンがなければクルマがつくれないからだ。また、トヨタがルネサスの株主になっていることも、理由の1つだ。
ところが、その直後に、ルネサスの筆頭株主である官民ファンドの産業革新機構が、ルネサス株を売却するという報道がなされた(日本経済新聞、2015年11月21日)。その背景には、株式を一定期間売却できない「ロックアップ」契約が2015年9月末に解除され、加えてルネサスが2015年3月期に黒字化を実現し経営再建を果たしたとの判断があるようだ。
その報道を知って、なるほど、このタイミングで中国の紫光集団がルネサス株取得を目論んでいるのか、と合点がいった。
果たして、本当にトヨタはこれを阻止する動きに出るか? また、仮にルネサスの筆頭株主が中国企業になった場合、それはルネサスにとって悪いことなのか良いことなのか?