米IBMは9月20日、データ分析の米ネティーザという企業を約17億ドルで買収すると発表した。買収価格は1株当たり27ドルで、前週末のネティーザ株終値に約10%のプレミアムを上乗せした金額となる。
タイムワーナーや、NTTドコモ、サッポロビールなど顧客は350社
ネティーザは、マサチューセッツ州マールボロに本拠を置く企業で、従業員数は約500人。
取引先は、米欧の証券取引所を運営するNYSEユーロネクストや、メディア大手の米タイムワーナー、ケーブルテレビやネット接続サービスを手がける英ヴァージン・メディアなどがあり、合計350社に上る。日本ではNTTドコモやサッポロビールも同社の顧客だ。
ネティーザは「ビジネスインテリジェンス(BI)」システムを手がける企業で、分析ソフトとハードウエアを統合した機器(アプライアンス)を提供している。
BIとは、ウェブの情報や電子メール、売り上げや顧客情報といった様々なデータを分析、抽出して、ビジネス戦略の意思決定に役立てる手法だ。
かつてBIといえばソフトウエア技術が中心で、ハイテク大手はそうした企業を次々と買収してきた。
ソフト中心の時代は終わり、ハードとの組み合わせが中心に
例えば米オラクルは米ハイペリオン・ソリューションズを、ドイツSAPはフランスのビジネスオブジェクツを、IBMはカナダのコグノス、米マイクロソフトはノルウェーのファストサーチ&トランスファをそれぞれ買収している。
しかしソフトウエア企業の買収はいったん終息し、今はソフトとハードを組み合わせた製品を手がける企業が買収のターゲットになっていると米ニューヨーク・タイムズは報じている。
大量データの分析を高速に処理することが求められている昨今は、ソフトウエア技術だけではなくハードウエアと緊密に連携した統合システムが必要だからだ。
つまり、データベースにいったん格納したデータをまとめて処理するという時代は終わり、常に発生するリアルタイムのデータを瞬時に分析し、適切な回答を出したり、予測したりすることが不可欠となる。