今回はクリーンエネルギー産業の特徴を分析します。近年、産業としてのクリーンエネルギーは、新興産業として目覚ましい成長を遂げています。

この6年間で投資額は約4倍に膨れ上がった

 産業の規模を確認するに当たって、1つの指標として、2004年以降世界のクリーンエネルギー産業に投融資された金額を見てみます(図20)。

 Bloomberg New Energy Finance によりますと、世界のクリーンエネルギーへの投資・融資額の総額は、2004年は460億ドル(4兆1400億円)でしたが、2009年は若干世界同時不況の影響は受けたものの、それでも2007年を上回る1620億ドル(14兆5800億円)に達しました。

 この6年間で、クリーンエネルギー産業に投入された資金規模が約4倍に膨れ上がったのです。短期間に、この規模で、これだけ高い成長を遂げた産業が過去あったでしょうか?

 確かに、産業としてはまだ生まれたばかりですが、クリーンエネルギービジネスなんて、まだまだ先の話でしょ? といった概念は、少なくとも変える必要があるのは、このデーターを見ると明らかです。

IBMやグーグル、インテルなどのIT企業が続々参入

米IBMが企業向けWebメールサービス開始、Googleに対抗

エネルギー産業に事業を伸ばす米IBM〔AFPBB News

 では、クリーンエネルギー産業で活動している企業の顔ぶれを見てみましょう。

 主に化石燃料ベースのエネルギー供給を担ってきた石油会社・電力会社など、いわゆる従来のエネルギー企業である古株に加え、米国のIBM、グーグル、インテルなどの大手IT企業がクリーンエネルギー市場に新規参入しているのです。

 前回、クリーンエネルギーの普及の課題の1つにコストを挙げましたが、その解決策の1つが、大幅なコストダウンを実現する革新的なクリーンエネルギー技術の開発です。

 このクリーンエネルギーの普及の鍵を握る技術開発の領域で、IT企業は彼らの持つITとET(Energy Technology)との融合を狙って、クリーンエネルギービジネスで勝負をしようとしているのです。

 例えばIBMは、自社の持つシミュレーション・モデリング・分析ツールやシステムネットワーク構築・運営能力などのITを活用して、スマートグリッド事業を積極的に展開しようとしています。