昨年の中国株急騰は、当局による株価維持策のおかげだったのか (c) Can Stock Photo

 この1週間ほど、世界中の株式市場がボラティリティー(変動率)の急騰に襲われ、ニューヨーク、東京、ロンドンをはじめ、各地のトレーダーが相場の乱高下に見舞われた。そして、この世界的な金融の発作全体がおしなべて、たった1つの原因のせいにされている。中国だ。

 自由経済においては、市場メカニズムは安定性と不安定性の双方を生むことがある。

 ある有形財の価格の上昇は一般に需要の減退を招き、市場を新たな均衡に向かわせる。

 対照的に、株式のような資産の価格の上昇は、さらなる値上がりへの期待を高め、潜在的に高すぎる水準まで需要を増加させる。

 政策立案者がさまざまな手段を使って資産価格に影響を与える中国経済のような計画経済においては、そのような不安定性は、理論上は回避することができる。実際、マルクス主義の見方では、危機を食い止める政府の介入こそがまさに、統制経済が自由市場経済よりも優れている理由だ。だが、実際には、これは事実ではないように見える。

政治的な動機に基づく強引な介入

 推定するに、中国の金融当局によるいわゆる「プライス・キーピング・オペレーション(PKO、株価維持策)」――1990年代前半に日本で試みられたアプローチ――が、中国の株式市場が昨年、国の経済的ファンダメンタルズで正当化できるレベルをはるかに超える水準まで急騰した理由だ。最近の株式市場の急落は、投資家が株価は持続不能になったと結論付けたことを示唆している。

 だが、中国政府は依然として介入にコミットしており、株価の調整に対応し、多くの企業の株式の完全な売買停止を含め、強引かつ政治的な動機に基づく措置を講じた。政府の動きは上海株式市場の一段安を食い止めたように見えた。だが、その効果は一時的だった。8月24日、上海市場は8.5%下げ、2007年以降最大の下げ幅を記録した。