東南アジアでは、チャレンジ精神にあふれる多くの日本の若者に出会った。シンガポールの夜景(資料写真)
日本ビジネスプレスと主婦の友社は9月1日に、セブン-イレブンおよびセブンネットショッピングでJBpress新書『若者よ、外資系はいいぞ』(祖父江基史著)、『中国人はなぜ世界中で嫌われてしまうのか』(宮家邦彦著)を発売します。いずれもJBpressの好評連載を再構成して書籍化したものです。 『若者よ、外資系はいいぞ』は、目まぐるしく移り変わる世界を生き抜くための実践的キャリアガイドです。以下では、基となった連載がどのような経緯でスタートしたのか、本書にどんなメッセージが込められているのかを紹介します。
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 私たちがJBpressを始めてからまもなく8年が経とうとしている。たった8年しか経っていないが様々なことが立て続けに起きた印象がある。創業してまもなくリーマン・ショックに見舞われた。世界経済は大混乱し、そのショックを和らげるために米国をはじめ大金融緩和時代が到来した。

 世界恐慌を起こさないためという大義名分を掲げ、モラルのかけらもない金融機関をこぞって救援した。米国では1980年代の住宅バブル崩壊時とは打って変わって、返済能力の乏しい低所得者にサブプライムローンを貸しまくった面の皮が張った人たちが罪に問われることはほとんどなかった。

 金融の世界も競争が激しくなり、米国といえども倫理より目の前の競争力を重視せざるを得なくなったということができる。様々な面で世界の秩序に異変が生じているのだ。2000年までの世界とは様変わりである。

 米国ではその後、シェール革命が進行しエネルギー産業が大復活を遂げて米国の屋台骨を支える産業へとカムバックした。金融とIT、そしてエネルギーという3つの牽引車を持ち米経済は上昇気流に乗る。大規模緩和の出口も見えている。

 しかし、世界的に原油がだぶつきはじめ、シェール革命が起きた当時喧伝されたバラ色の未来は画餅に帰す危険性すらある。世界の動きは加速度を増している。

中国、日本、東南アジアの凄まじい変貌

 アジアに目を転じれば、中国が急速に力をつけ国内総生産(GDP)で長らく世界第2位だった我が国をあっと言う間に抜き去った。同時に経済成長をはるかに上回るペースで軍事費の拡大を続け、米国への対抗意識をむき出しにし始めた。

 才能や野心を隠して着実に力を蓄えよという鄧小平の「韜光養晦」の教えを脱ぎ捨て、周辺各国との軋轢をものともせず膨張戦略に舵を切っている。一方、所得が増えた国民は海外旅行を楽しみ世界各国で「爆買い」を続ける。

 ところが、その中国も風向きが大きく変わり始めている。人件費の高騰に加え政府主導で反日運動を進めた結果、日本企業が中国離れを加速させ、「世界の工場」は推進力が大きく削がれてしまった。