海外経験をキャリアに生かせる人、生かせない人
私が現在プロジェクトディレクターを務めている厚生労働省委託の「Global ACEプロジェクト」では、ワーキングホリデーや海外インターンシップ、海外ボランティア等の海外就業体験者のキャリア形成支援をしています。
今回はその一環で行っている実態調査について2回に分けてご紹介します。
今回の調査は、以下の両面から実施しています。
1.海外就業体験者の採用実績がある、もしくは採用意向のある企業328社へ、採用や雇用・育成などについてのアンケートやインタビュー
2.過去に海外就業体験をしたことのある553人へ、海外体験のキャリアへの生かし方などについてのアンケートやインタビュー
昨今グローバル人材という言葉が流布する中、何となく海外へ行けば就職に有利になるとかキャリアアップできると思われがちですが、決してそうではありません。
今回の調査でも明らかになっていますが、渡航動機があいまいだと就職活動時に海外体験があまり評価されません。たとえば現状打開(自己成長)や社会貢献などの動機で渡航する場合は、7~8割が就職に有利になったと回答しているのに対し、動機があいまいな層では4割程度しか海外経験が就職活動時に評価されていません。
さらには、動機があいまいな層は、現地で高められた能力・資質(実行力、好奇心、チャレンジ精神、ストレス対応力、コミュニケーション力、リーダーシップ、独創力ほか全21項目)の向上度合いも、動機が明確な層に比べて相対的に低い傾向となっています。
そして、能力・資質の向上度合いが高いほど、帰国後の就業における海外体験の発揮度合いが高いことがわかっています(以下の図表参照)。