米国のオバマ政権下での日本の同盟国としてのランクは明確に下がったようだ。ヒラリー・クリントン国務長官の9月8日の外交演説で、その事実があからさまに示された。

 私はオバマ政権が発足してまもない2009年3月、『オバマ大統領と日本沈没』という本を出し、その中で、オバマ政権が日本を従来よりも軽く見るようになるだろうという予測を述べた。比喩的に言えば「日本沈没」の展望だった。その予測が現実になってきたことは決して喜ばしい現象ではない。

日本と韓国の順番が入れ替わった

 9月8日、クリントン長官はワシントンの「外交評議会」主催の講演会で、かなり長い外交政策演説を行った。オバマ政権のこれまで1年7カ月ほどの外交面での軌跡と、今後の方針を総括的に語ったのだった。

「原爆の日を心に刻むことが適切」、大使出席で米国務長官

ヒラリー・クリントン国務長官〔AFPBB News

 その中で日本側の関係者たちが注視したのは以下の部分だった。

 「アジア、太平洋地域を見よう。(中略)われわれ(オバマ政権)は韓国、日本、オーストラリアのような緊密な同盟国との絆を再確認した」

 ただこれだけの言葉なのだが、重要なのは「アジア、太平洋地域での緊密な同盟国」として、まず韓国を筆頭に挙げた点である。日本は2番目に言及された。米国の歴代政権では、アジア、太平洋の同盟国と言えば、いつも日本が筆頭に挙げられていたのだ。

 この点を読売新聞が9月9日、ワシントン特派員電で「米のアジア同盟国格付け・・・日本は韓国より下」という見出しで報道した。「これまで定型的に使っていた『日本、韓国、オーストラリア』という順番を変更した」というのである。

 この報道は、「米国の知日派の間には、日本の優先順位を見直した事実を民主党政権に気づかせるためのオバマ政権からのサインではないか、との指摘も出ている」とも記していた。