意外だった東芝の企業文化
東芝で1518億円に上る不正会計が明らかとなり、歴代3社長が辞任する前代未聞の騒動となっている。
第三者委員会の報告書によれば、歴代3社長が「チャレンジ」と称する過大な利益目標を設定し、カンパニートップや子会社の社長にプレッシャーをかけたという。そして、東芝には上司に逆らえない企業文化が存在していたため、上記プレッシャーが原因となって、組織ぐるみで不正会計を継続的に実行するようになったと分析している。
私は日立出身の元半導体技術者だが、東芝でかれこれ10回も講演を行ってきたこともあり、東芝の知人や友人は多い。彼らと付き合ってきた皮膚感覚からすると、官僚的な日立に比べて、東芝の企業文化は「自由闊達」であると思い込んでいた。
それゆえ、「東芝には上司に逆らえない企業文化があった」と断じた第三者委員会の報告には、驚くと同時に、にわかには信じられない思いがした。東芝関係者にその辺りのことを尋ねてみると、「部長会議などでは、吊るし上げをされることもあり、恐怖政治的な風潮があった」という。やはり、外から見ただけでは、本当の実態は分からないものである。
不正会計はこれだけか
第三者委員会が行った調査は、東芝から委嘱された以下の4事項についてである。その調査対象期間は、2009年度から2014年度第3四半期までである。