アジア諸国はギリシャ危機の展開を、羨望と他人の不幸を喜ぶ気持ちが混ざり合った複雑な思いで注視してきた。アジア諸国が1997年に金融危機を経験した時、各国が受けた支援はギリシャよりはるかに少なく、支援の条件ははるかに厳しかった。
それでも、アジア諸国はギリシャよりはるかに力強く回復した。このことは、増え続ける救済が回復にとって最良の処方箋ではないかもしれないことを示唆している。
危機が始まって以来、ギリシャはいわゆる「トロイカ」――欧州委員会、欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF)――から巨額の金融支援を受けてきた。
2010年と2012年に総額2400億ユーロ(2660億ドル)の救済パッケージを受けた。ここにはIMFからの支援3000億ユーロが含まれるが、これは、ギリシャが本来IMFから借りられる累積限度額の3倍以上に相当する。最新の合意は、さらに最大860億ユーロの融資を約束している。
条件がずっと厳しく、しかも少額だったIMF支援
対照的に、韓国が1997年に受けた救済パッケージ――インドネシア、タイ、フィリピンが受けたものより規模が大きかった――は総額570億ドルで、IMFからの融資は210億ドルだった。当時の韓国の年間国内総生産(GDP)は5600億ドルだった。ギリシャの2014年のGDPは2400億ドルに満たない。
IMFは政治的な理由でギリシャにこれだけ多額の資金を融資したように見える。まず、危機が始まった時、当時IMF専務理事だったドミニク・ストロスカーン氏は、次期フランス大統領になる有力候補だった。
より一般的に言えば、IMFの主要出資国である欧州連合(EU)諸国と米国は、フランスとドイツの銀行を守り、北大西洋条約機構(NATO)の結束を維持するために、ギリシャを安定させることに死活的利益を持っていた。
IMF政策局の元副局長デスモンド・ラックマン氏はIMFのことを、ギリシャ危機の最中に政界の支配者によって悪用された「不正資金」と呼んだことがある。