ロシア機へのスクランブルは対中国機以上

 日本に到着すると、まず青森県にある三沢基地の北部航空方面隊を訪れた。基地では司令官にご挨拶させていただき、昼食の後は日米が共同開発したF-2戦闘機やE-2C早期警戒機のハンガー(格納施設)を訪れて操縦士から話を聞いた。

 三沢の北部航空方面隊は千歳基地と一緒に北海道と北東北地域の防空を主な任務とし、数分で緊急発進することのできる戦闘機、そして外国機の情報を収集して管制などを行う警戒機を備えている。

 基地を広く見わたせる管制塔に登ると、まさにF-2やE-2Cが飛来してくる。滑走路に着陸した瞬間再び離陸する「タッチ・アンド・ゴー」の訓練をする戦闘機を目の前にしながら、管制塔の役割や、同じ基地で活動する米軍との共同運用の性質、そして飛行中の航空機とどう交信するのかなどを聞き、それらがレーダーにどう映るのかを見せてもらった。

F-2に乗り込んだ筆者

 三沢基地は、私が前回訪れた百里基地(茨城県)よりも滑走路の使用が頻繁である。沖縄の嘉手納基地に次いで最も飛行頻度の高い自衛隊基地だという。私が見ている間だけでも、数分に一度の割合で軍用機が轟音を出して飛来する。百里基地の主な目的は、東京を中心とする首都防空になるが、北部航空方面隊は三沢と千歳の両方で北海道・北東北地域の防空を主な任務としている。

 三沢基地の重要性は、航空自衛隊機の緊急発進(スクランブル)の数が近年上昇し続けているという事実からもうかがい知ることができる。

 防衛省統合幕僚監部の報道によると、平成26年度は合計943回のスクランブルがあった。平均すると毎日少なくとも2度、昼夜そして祝休日かまわず、日本に近い領域のどこかで未確認飛行機に対応するための緊急命令が出され、その数分以内に戦闘機が発進して対応にあたっているのである。