現在、私は大学を休学し、妊婦体験をしながら世界一周の旅をしている。この旅を通して世界の人々、とりわけ男性に妊婦体験をしてもらい、妊娠や出産、子育てに関して考えるきっかけを提供したい。

「おかしな日本人がいきなり妊婦体験をしてみないかと言ってきた!」

 現地の男性からしたら、かなり不可思議な体験であろう。だからこそよりインパクトを与えられるのではないかと考えている。ふとした拍子に私のことを思い出してもらい、行動変容を促したい。

 私の世界一周の旅はおよそ400日間を予定している。記事を執筆している時点で、112日が経過した。これまでに中国、ベトナム、カンボジア、タイ、ミャンマー、バングラデシュ、インド、ネパールの8カ国を訪問し、合計351人に妊婦体験をしていただいた。今回はタイから後の3カ国に関して、どのような旅をしたのか紹介したい。

【タイ】妊婦体験人数 38人

 バンコクは東南アジア版東京といった趣きの街であった。慣れないうちは、少し高い物価と複雑な交通網に翻弄されて、少しも楽しむことができなかった。「ここから早く出タイ」と思っていたのだが、インドとミャンマーのビザを作るために腰を据えて滞在する必要があった。

 街を歩くにつれ、いろんなことが分かるようになった。タダで乗れる青バスの見分け方をマスターしたり、まるでディズニーランドのアトラクションのような水上バスへの乗り方が一度分かってしまうと、バンコクの街歩きが一気に楽しくなった。ある時は夜の街に繰り出し、ある時は南の島まで行ってパーティーに参加したりして日々を過ごしていると、妊婦体験の活動をしばらくほったらかしにしてしまっていた。旅には休憩も必要であろう。