セクシュアルハラスメント疑惑に端を発する辞任劇、そして米オラクルへの電撃移籍と、メディアを賑わす発表が相次ぐマーク・ハード氏だが、同氏を巡る話題はまだ尽きないようだ。
ハード氏はHPの最高機密を知っている人物
米ヒューレット・パッカード(HP)は9月7日、前最高経営責任者(CEO)のハード氏がオラクルの経営に参加したことは、同氏とHPが結んだ秘密保持契約に違反するとして、カリフォルニア州の裁判所に提訴した。
HPによると、退職金受給の条件として同社とハード氏が2008年と2009年に結んだ秘密保護契約は、HPとの雇用関係が切れた後も継続する。ハード氏はHPの会長、CEO、社長職を務めた人物であり、当然にHPの最高機密を知っている。
そのハード氏が同社と競合関係にあるオラクルの社長になったことは、HPの企業秘密が極めて危険な状態にあることを意味すると主張。同氏のオラクル社長就任差し止めを求めている。
ハード氏は元契約社員に対するセクハラ疑惑に関連する社長調査の結果を受けて、8月6日にHPを退社した。この辞任を聞いてオラクルのラリー・エリソンCEOは、ハード氏を引責辞任に追い込んだHPの取締役会の決定は「アップルがスティーブ・ジョブズ氏を解任したとき以来の最悪の人事」と厳しく批判。ハード氏を擁護するとともに同氏の経営手腕を高く評価し、9月6日、共同社長として迎えたと発表した。
カリフォルニアでは認められない「必然的情報漏洩」
「HP在籍時に知った情報を使ったり漏洩することなく、同業の企業でまっとうに社長職を遂行することはできない。情報は必然的に漏洩する」というのがHPの主張のポイントだが、これに対し専門家は、両社が本社を置くカリフォルニア州ではHPは不利な立場にあると指摘している。