セクシュアルハラスメント疑惑がきっかけで引責辞任した米ヒューレット・パッカード(HP)の前最高経営責任者(CEO)、マーク・ハード氏がソフトウエア大手、米オラクルの共同社長を務めることになった。

 この話題は9月第1週の終わり頃から米欧のメディアが伝えていたが、オラクルが週明けの6日に正式発表した。同氏はオラクルの取締役会にも加わることになる。

 また、オラクルは同日、2人いる共同社長のうちチャールズ・フィリップス氏が辞任したことも明らかにした。これによりオラクルは従来通り、ラリー・エリソンCEOの下、共同社長を2人置く組織体制となる。

 辞任したフィリップス氏についてオラクルは詳細を明らかにしていないが、発表資料によると同氏は昨年12月にその意思をエリソンCEOに伝えており、ハード氏の社長就任とは直接関係ないもようだ。

「HPの犯したミスを生かす」

米HP情報漏えい調査問題で公聴会 - 米国

HPの前CEO、マーク・ハード氏が米オラクルの共同社長に〔AFPBB News

 マーク・ハード氏を巡ってはHPが8月6日、元契約社員によるセクハラの訴えを受けて行った社内調査で、同氏の行動はHPのセクハラ規定に違反するものではなかったが、社内の行動規範に反していたとし、同氏が責任を取って辞任したことを明らかにした。

 これを受け、ハード氏と親交のあるエリソンCEOは「HPを成功へと導いた立役者を辞任させるとは、アップルがスティーブ・ジョブズ氏を解任したとき以来の最悪の人事」とHPの取締役会を激しく批判していた

 エリソンCEOは今回の発表資料の中でも「ITの分野でマーク以上に経験のあるエグゼクティブはいない」と述べており、同氏を高く評価している。

 また、米ニューヨーク・タイムズが伝えている同氏のコメントでは「HPの犯したミスをオラクルが最大限に生かす」とHPへの批判も忘れていない。

 ハード氏の社長就任で、オラクルとHPのライバル関係はさらに激しさを増してくると米ウォールストリート・ジャーナルは伝えている。企業向けコンピューティング市場で、データベースソフトを提供するオラクルと、サーバーやストレージ製品を提供するHPはかつて提携関係にあった。