中国公船2隻が領海侵入、尖閣沖

東シナ海・尖閣諸島周辺海域を航行する中国海警局の船舶(2013年11月2日撮影、資料写真)。(c)AFP/JAPAN COAST GUARD〔AFPBB News

 前回(「南シナ海で日中軍事激突も?新ガイドラインのリスク」)に引き続き、改定された日米ガイドラインに潜む死角について指摘したいと思います。

東シナ海方面の防衛体制構築が先決

 今回の改定により、中国とフィリピンの紛争が激化した場合、来援する米軍を支援する方向性が示されました。そのことを批判するつもりもありませんし、選択肢を作っておくという意味では肯定します。

 しかし、その事態が生起した場合、中国側は来援する米軍の後方支援をガイドラインに基づいて行うであろう日本の切り離しを狙ってくるのは必定です。具体的には、東シナ海での陽動なり、最悪の場合は一気に紛争の烈度を高めてくる可能性が高いでしょう。なぜならば、この場合の中国は、既にフィリピンと紛争状態に陥っており、もはや全面的な戦争を辞さない覚悟を決めてしまっている可能性が高いからです。

 しかし、控えめに指摘しても、東シナ海の防衛体制はまだまだ不完全です。例えば、離島防衛体制は、自衛隊の海兵隊部隊だけを見ても、まだまだ編制途上にあるからです。AAV-7水陸両用車やV-22オスプレイは調達途上であり、「水陸両用機動団」が編成されるのは2018年までの予定です。当然、ドクトリンや作戦構想も検討中のことと存じます。実際、スペンサー英海兵隊副司令官は訪日時に、日本版海兵隊について「物理的な能力の向上に目が行きがちになるが、何がしたいのかという構想をしっかりと立てなくてはならない」と指摘しています。

 そもそも、本コラム「3Dプリンターこそが離島防衛の死命を決する」で指摘したように、陸上自衛隊等の重装備を離島に輸送するための輸送力も関係者の懸命の努力にもかかわらず、まだまだ不足しています。

 これに加えて、よりエスカレーションが加速化した、中国側との本格的な武力紛争自体の準備もまだまだでしょう。特に弾薬などの後方支援に限界のある自衛隊が本当にできるのか不安です。