米軍では、ミサイルから食事や医薬品までを作れる3Dプリンターを研究し、実戦配備を目指して膨大な予算と人員を投入しています。が、どうも日本での取り組みはまだまだのようで議論もあまりありません。
しかし、3Dプリンターの軍事転用による「兵站革命」こそ、離島防衛の死命を決する要素と言っても過言ではないのです。
離島防衛の難しさ(1)──兵站の貧弱性
まず、軍事用3Dプリンターがなぜ死命を決する重要な要素となり得るのか。それは離島防衛独特の難しさに起因します。中国と本格的な衝突になった場合に我が国が相当苦戦する恐れがある点、それは兵站です。
九州南部から与那国島まで距離にして1200キロメートル。これは東京から福岡までと同じ距離であり、かなりの距離です。
しかし、自衛隊の兵站拠点は九州南部から与那国島までほとんど存在しません。基地や駐屯地ですら、南西諸島方面は、沖縄本島や若干の離島を除けば、今度建設される与那国島にしかありません。
また、自衛隊の弾薬拠点が日本全体で少ないことも貧弱な点です。特に航空自衛隊は、その航空機用のミサイルおよび機銃弾の備蓄が愛知県高蔵寺支処と青森県東北町分屯基地に集中しています。もちろん、各基地の所有する弾薬もありますが、ここがゲリコマや弾道ミサイル等で破壊されれば、航空自衛隊は各基地の備蓄だけで戦うことになってしまいます。