相撲の八百長問題や全日本柔道連盟の助成金の不正流用問題など、スポーツ界の不祥事がマスコミを賑わしたことがあった。日本相撲協会も柔道連盟も組織の改革を迫られていたが、現状の役員では難しいため外部の専門家を招聘するとのことであった。

 この話は何もスポーツ界に限ったものではない。公益財団法人をはじめ公的組織、そして一般企業においてすらも、組織運営に不可欠な「マネジメント」や「経営」というものを修得してきた人がトップに就くことがほとんどないのが実状だ。

 一般的に、どのような組織であっても、トップの選出方法はそれぞれの道で残してきた実績や実力、貢献度等で評価される。例えばスポーツでは、その道で最も成績の優れた人がトップになる。文化の世界ではその道の大家と言われれる人がトップになる。教育の世界であれば、指導力があり人望の厚い人がトップになるのだろう。一般企業ならば、最も会社に貢献した人、つまり業績の高かった人がトップになるケースが多い。

 だが、業績の高い人がトップになったからといって、組織をうまく運営できるとは限らないのである。トップに立つ人は、専門外で経験の乏しい経営や組織管理をしなければならない。トップが経営を考え、組織管理をしっかりと行わなければ、その組織は破綻し崩壊する。つまり、トップになる人には組織管理、すなわち「マネジメント」の習得が必須である。