景気減速に危機感を持つ中国が、市場のテコ入れに乗り出している。最近では、預金準備率の引き下げや住宅ローンの規制緩和などの政策を打ち出した。だが、一部の国民からは「瀕死の患者(中国経済)にモルヒネを打っているに過ぎない」と冷めた声が上がっている。
今年3月初旬の「全国人民代表大会」(全人代)における政府活動報告では、2014年の経済成長率が7.4%だったことが明らかになった。24年ぶりの低い水準である。背景にあるのは、住宅市場の低迷、工業部門の生産過剰などだ。
2015年の国内総生産(GDP)の成長率については「7%前後」と発表した。中国は「ニューノーマル」という言葉を掲げ、経済を安定させる調整期に入ろうとしているが、見通しは明るくない。7%を大きく下回れば雇用不安が生じる可能性がある。
閉鎖が相次ぐ外資系企業の工場
ここ上海も物騒になってきた。地元住民によれば「盗みが増えた」というのだ。
もともと外地からの流入人口が多い上海では、窃盗行為は決して珍しい犯罪ではなかった。しかし、「最近はこれまで以上に身の危険を感じるようになった」(上海市在住の主婦)という。
市内の病院に勤務する医療事務の女性も被害者の1人だ。「寝ている間に、リビングルームに置いていたスマートフォンが盗まれた」と言う。別室にいた女性に危害はなく、「命を狙われなかっただけ不幸中の幸いだった」(同)。