3月上旬の朝、私は米陸軍のUH60ヘリコプター、通称「ブラックホーク」に乗って東京都福生市にある横田基地に向かっていた。
他の軍用機に乗る場合に受ける飛行前の説明は今回はなかった。ヘリの爆音の中、一番左側の後部座席に滑り込んだ。乗組員と交信するのに必要なヘッドセットを付けると、間もなく出発した。
ハーネスをきつく締めた体を少し伸ばすと、東京都心の住宅街が200メートルほど下に見えた。しばらくすると左手には富士山が綺麗に見えた。
15分ほどの短いフライトだったが、必然的に日本の防衛と政治についていろいろ考えさせられた。そもそもなぜ東京の都心に米軍のヘリが普通に飛んでいるのか。この国の主権、行く末、そして日米同盟の将来はどうなるのか。