中国の軍拡による直接的な脅威は、どう見ても米国よりも日本にとってのほうが深刻なはずだ。地理的な距離を見ても、尖閣諸島奪取に意気込む様子を見ても、激しい反日言動を見ても、中国の軍事力の増強は日本を威圧している。
だが日米両国の受け止め方を比べてみると、日本よりも米国側の方が、中国の軍拡を脅威と受け止める度合いがずっと高いのである。ワシントンのある討論会でそのことが印象づけられた。日本側の中国の軍拡への認識は鈍いと言わざるを得ないのだ。
いまに始まった話ではない中国軍の日本本土攻撃能力
この日米ギャップが露呈したのは、2月27日、ワシントンのリベラル系の大手研究機関「ブルッキングス研究所」が開催したシンポジウム「中国の安全保障・外交政策=日米の見解比較」においてであった。その主な内容はタイトルどおり、日本と米国が、中国の安保がらみの動向をそれぞれどう見ているかについての比較だった。