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 「中国では数年のうちに20社近い病院がIPOし、世界中の先端技術・人材を引き寄せる」──先行するネット・コンテンツ産業を見る限り、まんざら荒唐無稽な大予言ではなさそうです。

 積極的な資本受け入れと、ビジネスの仕組み化で飛躍した美容整形チェーンEvercareの後半では、中国医療業界を取り巻く環境変化にも触れて参ります。

 米国・中国で確立し、日本に存在しないイノベーションも各業界で出てきており、日本としてはこの事態をきちんと正視できるか、問われているのではないでしょうか。

個人・地域単位での「固有投資」より、ブランド・市場創出への「共通投資」

Legend Capitalの朴焌成パートナー(右)とDI上海高級創業経理の板谷俊輔(文中の画像・図表は全てドリームインキュベータ提供)

DI 板谷:前回の『カリスマ医師は不要、日韓の先を行く中国の病院経営』では、美容整形病院チェーンのEvercareが、「非手術領域への注力」を行うことで、ビジネス・オペレーション面のリスク低減・安定化を図っていました。

 特に、「カリスマ医師に属人的な投資を行う代わりに、標準化しやすい先進技術に投資する」という点は、参考になりました。こうした商品・オペレーション面以外でも、「経営の仕組化」の工夫があるのでしょうか?

LC 朴:はい、マーケティング・ブランディングにおいても、やはり会社全体への共通投資が行われるように意識をしています。まずはじめに、Evercareが実はかなりの寄付・慈善活動を行っていることをご存知でしょうか?

 最も有名な例は、芸能人である李亚鹏・王菲夫婦(当時)が口唇口蓋裂の児童のために設立した「嫣然天使ファンド」に加盟し、2006年に中国初の指定病院となったことです。