本記事は3月3日付フィスコ企業調査レポート(アイスタイル)を転載したものです。
執筆 客員アナリスト 佐藤 譲

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@cosmeの圧倒的な強さで大幅増収増益、海外事業も視野に

 国内最大のコスメ・美容の総合サイト「@cosme(アットコスメ)」を運営。子会社で化粧品の小売事業(EC、店舗販売)や美容事業支援事業、アジアでのマーケティング支援事業などを展開している。

 2月2日付で発表された2015年6月期第2四半期累計(2014年7月-12月期)の連結業績は、売上高が前年同期比32.0%増の4,410百万円、営業利益が同209.3%増の330百万円と大幅増収増益となった。「@cosme」の広告販売が大手クライアントを中心に計画以上に伸びたことに加えて、小売事業がインバウンド消費もあって好調に推移したことなどが主因だ。

 2015年6月期の業績は、売上高が前期比3.1%増の7,359百万円、営業利益が同46.3%減の254百万円と期初計画を据え置いたが、営業利益は第2四半期までに通期計画を超えていることから、会社計画を上回る公算は大きいと言えよう。ただ、下期はスマートフォンサイトのリニューアルや新サービスなどの開発投資をさらに強化しており、利益水準は第2四半期累計よりも大きく落ち込む見通しだ。

 同社は中期計画として2016年6月期に売上高10,000百万円、営業利益1,500百万円を目標として掲げている。「@cosme」はスマートフォンサイトのリニューアルにより、利用者にとってより最適な情報サイトへ進化する見通しで、広告販売収入の更なる増加が見込まれる。また、国内での化粧品小売事業の拡大に加えて、今下期以降に開始する中華圏での化粧品卸事業や越境EC事業などの新規事業の成長も期待される。

 同社は今後も「@cosme」という圧倒的なリーチ力を持つプラットフォームを基盤として、「美容」に関する様々な周辺事業に他社との協業も含めながら取り組んでいく方針で、成功したビジネスモデルについてはアジアへの横展開も進めていく戦略だ。アジア最大のビューティプラットフォーム企業の実現を目指した、同社の今後の動向が注目されよう。

Check Point

●コスメ・美容の総合サイト@cosme運営、圧倒的なリーチ力
●15/6月期2Qは2ケタ増収、純利益は前年同期比25倍の増益に
●中期経営目標は売上高100億円、営業利益15億円を目指す

事業概要

コスメ・美容の総合サイト@cosme運営、圧倒的なリーチ力

 同社は化粧品、美容関連商品などに関する利用者の商品評価情報サイト(クチコミサイト)、「@cosme」の運営を主力事業として手掛けている。2014年12月末時点における関連サイトも含めたグループ会員数は約300万人(2014年6月末286万人)と、国内最大の化粧品関連情報サイトとなっている。また、「@cosme」の月間UU(サイト訪問者)は約1,000万人、サイト利用者を年齢層別で見ると70%以上が20~30代の女性で占められている。国内の20~30代の女性人口は約1,470万人なので、同年齢層の約半数が毎月同サイトを利用していることになり、こうしたユーザー層に圧倒的なリーチ力を持つ広告媒体として、その地位を確立している。

 

 事業セグメントは、2015年6月期より区分変更を行い、従来、「メディア事業」「EC事業」「店舗事業」「その他事業」の4区分としていたのを、「マーケティング事業」「小売事業」「美容事業支援事業」の3区分とした。「EC事業」「店舗事業」を「小売事業」としてまとめ、両事業に含んでいたプロモーションサービスを「マーケティング事業」に移管した。また、これら3区分に含まれない事業、並びに第2四半期より開始した投資育成事業をその他として区分している。各事業セグメントの概要は以下のとおり。