本記事は1月29日付フィスコ企業調査レポート(アドバンスクリエイト)を転載したものです。
執筆 客員アナリスト 佐藤 譲

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インフラ基盤をいち早く構築、保険業法改正が追い風に

 アドバンスクリエイト<8798>は、情報メディアサイト「保険市場(ほけんいちば)」を運営する独立系保険代理店の大手。「保険市場」を通して問い合わせのあった見込み顧客を、通信販売や直営のコンサルティングプラザ、提携先である「協業」代理店に誘導し、保険契約を獲得している。収益の大半はこの保険契約から得られる代理店手数料収入だが、その他にも広告代理店事業、再保険事業などを展開している。

 2014年9月期の連結業績は、売上高が前期比2.1%減の7,462百万円、経常利益が同12.0%減の1,107百万円と減収減益決算となった。2013年春に実施した営業拠点再編の影響が期の前半まで残ったことや、2016年の保険業法改正に対応するため、社内及び提携先も含めたコンプライアンス体制の強化、情報セキュリティ体制の構築などに積極的に経営資源を投下したことなどが減益要因となった。ただ、こうした取り組みにより、保険業法改正に対応したインフラ基盤をいち早く構築したことになる。

 2015年9月期の連結業績は、売上高が前期比7.2%増の8,000百万円、経常利益が同8.4%増の1,200百万円と増収増益に転じる見通しだ。再保険事業の成長が続くことに加えて、保険代理店事業でも継続手数料収入(過年度契約分)の拡大が見込まれている。さらには、ここにきて直営店舗での契約件数が伸び始めていることもプラス要因となる。7月以降に新たな営業プロセスマネジメントを導入した効果が出始めているのが要因だ。直営店舗の収益は前期比横ばい水準を前提としているため、今後も増加傾向が続けば業績の上振れ要因となる可能性がある。

 保険代理店業界では2016年度の保険業法改正に伴い乗合代理店の明暗が分かれるとみられている。法改正によって、社内管理体制の強化だけでなく、保険販売員の知識レベル向上が求められるためだが、同社では法改正にいち早く対応したこともあり、コストアップなどのマイナスの影響は小さく、今回の法改正が追い風になると弊社ではみている。中長期的には再保険事業の収益もさらに拡大する見通しとなっており、今後は収益基盤の拡充も進めながら安定成長が続くものと予想される。なお、株主還元策に関しては配当性向で50%以上を目安としており、収益の拡大が続けば配当成長も期待されることとなろう。

Check Point

●2015年9月期の連結業績は、2期ぶりに増収増益に転じる見通し
●高収益性とともに安定性も兼ね備えた収益体質を維持
●積極的に株主還元、配当性向は50%以上が目安

事業概要

保険代理店事業と再保険事業を収益柱とするダンベル型ビジネスモデルの確立を目指す

(1)事業セグメント別の概要

 同社の事業は保険代理店事業、広告代理店事業、再保険事業の3つの事業に区分されている。事業別の構成比で見ると、保険代理店事業が売上高、営業利益ともに9割弱を占める主力事業となっている。今後は子会社で展開する再保険事業を強化していく方針で、中長期的には保険代理店事業と再保険事業を収益柱とするダンベル型ビジネスモデルの確立を目指している。