無人トラクターが、ようやく実用レベルに達してきたようです。

 総務省は「海外における準天頂衛星システムの高度測位信号の利用に係る電波の有効利用に関する調査」を実施しています(注:準天頂衛星とは特定の地域の上空に長時間とどまるように軌道を設計した人工衛星のこと)。日立造船と日立製作所、ヤンマーが共同でその委託先となって実用試験を始めました。

 オーストラリア、ニューサウスウェールズ州で行われている実験は、うまくいっているようです。

(参考)
稲の立毛時期において自律走行型ロボットトラクターを用いた無人作業に成功 精密農業の実現へ
日立がチャレンジする『自動運転トラクター』は、日本の農業を救えるか?
無人の自律走行型ロボットトラクター、誤差5cmの精密農業実現へ

 リンク先の記事にある通り、無人運転の場合、機械が「自分は地球上のどの位置にいるのか」を判断する時の誤差が実用性の有無を決めてしまいます。

 今回の実験で目標とされている誤差が5センチということですから、これだけの精度があれば、オーストラリアでならものになりそうです。

誤差5センチでは事故が起こりかねない日本の田畑

 ではこれを日本で使えるのか? 記事中に出てくる日立の方がおっしゃるように、支援程度にとどまると見るのは早計です。実際に日本の環境で使ってみないと何とも言えないのですが、日本ではこの技術をもっと高度に運用し、より精度の高い、誤差2~3センチ、あるいはそれ以上の設密さが実現できるかもしれません。

 まず、5センチという誤差がどの程度のものか、手近にある定規を手に取ってみてください。この程度の誤差ですと、オーストラリアの広い農地なら十分でしょう。