前回の当コラムでは、米国大手紙の「ニューヨーク・タイムズ」が日本の慰安婦問題報道をめぐる動きを「日本の右翼の新聞攻撃」と断じた記事(「朝日の『慰安婦問題』誤報訂正でNYTの日本叩きは手詰まりか?」)を紹介した。その後、同紙は、同じ趣旨で安倍晋三首相を非難する社説を改めて掲載した。
続いて「ワシントン・ポスト」と「ロサンゼルス・タイムズ」の両紙も「安倍首相と右翼が朝日新聞を弾圧している」とするコラム記事や社説を掲載した。
これら米国の3大紙はいずれも明確な根拠を示さないまま、「慰安婦は日本軍の組織的な強制連行による性的奴隷だった」と断じ、朝日新聞には誤報はなかったかのように弁護している。米国ニュースメディアのこうした日本非難は、事実を無視して、自分たちの特定の日本観を押しつける対日思想警察のようである。
日本政府としても自国の首相への不当な誹謗には断固、抗議すべきだろう。
元朝日、植村記者のコメントを紹介するNYT
ニューヨーク・タイムズは12月4日付の社説で「日本の歴史のごまかし」と題し、「日本では右翼政治勢力が安倍政権に後押しされて、第2次大戦中に日本軍が何万人もの女性に売春奉仕を強制した恥辱の歴史の一章を否定する威嚇的な運動を実行している」と論評した。
同社説はさらに、慰安婦強制連行を否定する日本の動きについて、「この強制連行を、戦争で敵だった側が捏造した大ウソだとして否定する政治的努力は勢いを増している。歴史修正主義者たちは河野談話での謝罪をも撤回させようと努めている」と述べた。そのうえで同社説は、「ナショナリスト的熱狂を煽ることを意図する安倍政権は、日本が女性たちを性的奴隷へと強制徴用したことについての1996年の国連人権報告の修正を求めたが、拒否された」とも記していた。
同社説はまた「朝日新聞が1980年代と90年代に出した記事の一部を撤回したことに乗じて、日本の右翼が朝日新聞を攻撃し続けている」として、朝日新聞に誤報記事を書いた植村隆記者の最近の「右翼や超国粋主義者が暴力的な脅しで私たちを黙らせようとしている」というコメントを紹介した。さらに同社説は結びの部分でも「日本は朝鮮半島やその他の地域で何万もの女性を強制連行して性的奴隷にしたことを認めた経緯もある。それが歴史的な真実なのだ」と強調した。