2014年の東アジアは軍事的にも経済的にも、大きな目で見れば安定した1年だった。先月北京で開かれたAPEC会議では安倍晋三首相と習近平・中国国家主席との間で会談が実現し、朴槿恵・韓国大統領とも短いながらも会話が生まれ、日本の外交に一定の期待を残した。
東アジア情勢は近い将来どう変わるのだろうか。本稿では今年の進展を元に、来年注目すべき点を幾つか挙げたい。特にここ数カ月の政治・経済両面での動きは地域の安定にどう影響を与えるのかという問題に着目したい。
軍事対立は東アジアで戦争を引き起こすか
安全保障の分野で最も大切な問題の1つに、戦争の可能性がある。とりわけここ数年の間で日本を取り巻く環境は厳しくなってきており、専門家の間でも尖閣地域での日中の軍事衝突の可能性とシナリオが分析されている。冷戦中にあったソ連からの脅威は低下したぶん、北朝鮮や中国を中心とする西からの脅威が顕著になった。
中国の軍事増強を目の前に、日本の領土防衛は少しずつ不利になってきている。2013年11月の中国の防空識別圏設定から先月の小笠原諸島海域での「宝石サンゴ」の密漁漁船の問題まで、迅速で効果的な対応を見せることができなかった。
海上保安庁のデータによると、ここ数年、中国漁船の日本領海への侵入が増えている。防衛省統合幕僚監部のデータでも、ロシア軍機の次に中国軍機に対しての航空自衛隊機のスクランブルが増えている。日本の抑止力の低下と、それへの有効な対処法の欠如を示唆している。
しかし日中間の軍事衝突を起こさぬための政治・外交・軍事・経済的な措置が取られている。東京と北京を分断する根本的な問題は多く残っているが、それがすぐに戦争を意味するわけではない。
朝鮮半島も然りである。南北統一という将来の展望に関しては不明な点が多く、韓国と北朝鮮の関係の根本的な問題は解決の糸口も見えていない。しかし、北朝鮮のミサイルや核開発など時折見せる軍事活動を除き、より大きな目で見れば朝鮮半島は安定しているとも言える。
とは言っても、日韓関係で大きな発展を期待するのは難しい。もちろん、日韓間での戦争は考えにくいが、竹島問題、日本海呼称、歴史問題、対立感情を含め根本的な問題は解決されておらず長期的に進展を見守る必要がある。この点、日中韓首脳のサミットが開かれれば今後の東アジア外交の布石となるかも知れない。