この原稿はウルムチ発ビシュケク行き航空機の中で書いている。これで筆者の居場所が分かる読者は相当の国際通だろう。ビシュケクとはキルギス共和国の首都。キルギスは、北はカザフスタン、南はタジキスタン、西はウズベキスタンと接する中央アジアの山国だ。では、なぜ「中国株式会社の研究」に書くのかって?

 それはキルギスの東方国境が中国の新疆ウイグル自治区と接しているからである。

ウルムチ経由の中央アジア

キルギスの首都ビシュケク

 今回は変わったルートでビシュケクに到着した。昨日朝羽田から北京に入り、中国国内線に乗り換えてウルムチで1泊。ウイグルが今も中央アジアかどうかを再確認するためだ。

 ビシュケクはウルムチから2時間足らず。時差も2時間なので、ウルムチを午後に出発すると、ビシュケクにはほぼ同時刻に着く。

 キルギスの時間がおかしいのではない。ウルムチの時間が驚くことに北京時間と同じだからである。

 今回は北京空港で初めてトランジットを経験した。国内線ウルムチ行きは結構混んでいたが、ウイグル族らしき乗客はほとんど見かけない。ファーストクラスの最前列には賢そうな漢族の共産党幹部らしき紳士が座っていた。

 ウルムチ到着後、現地党幹部連中が丁重に出迎えていたので、恐らく間違いないだろう。往きの飛行機の中から、既に新疆での北京と漢族の優位は明白だった。

 機内も相変わらずである。漢族の中国人は大声で喋り捲り、何度注意されても離陸直前まで携帯電話での通話をやめようとしない。エコノミー席の乗客がキャビンに入りきらない大型手荷物をファーストクラスのキャビンにまで無理やり持ち込もうとする。