安倍政権はオーストラリアに日本の高度な潜水艦技術を供与しようとしているが、日本防衛にとってオーストラリア以上に直接的影響を持つ国が先進的潜水艦を渇望し続けている。それは台湾である。
強大な潜水艦艦隊を擁する中国海軍に対して、少数の、博物館入りしていてもおかしくない老朽潜水艦で立ち向かっている台湾は、アメリカ政府が約束した潜水艦の供与を13年間待ち続けてきた。しかしながら、その実現は遠のいてしまった。そこで先日、台湾海軍は「座して死を待つことはできない」と自力で潜水艦を建造する方針を打ち出した。
ところが「とても台湾が独自に先進的潜水艦を建造することは困難である」というのが多くの米海軍関係潜水艦専門家の見方である。そしてここに来て、「日本こそが台湾海軍の苦境にとって一縷の光明である」という声がささやかれている。
台湾には老朽潜水艦しかない
安倍政権が技術供与に積極的なオーストラリア海軍と同様に、というよりもそれ以上に、台湾海軍が保有している潜水艦は時代遅れの旧式潜水艦である。
現在、台湾海軍は海獅級潜水艦2隻(海獅、海豹)と海龍級潜水艦2隻(海龍、海虎)を運用中である。いずれの潜水艦も海上自衛隊やオーストラリア海軍同様に通常動力型(推進動力が原子力ではない)潜水艦である。