つい先日のことです。
あるところで、若い人のプレゼンテーションを聴く機会がありました。やたらと熱弁を振るって「リスクが、リスクが・・・」と言うのですが、どうも要領を得ないのです。
そこで「ところで、リスクってなんですか?」と質問してみると、
「ええと、自分にとってのマイナスって言うか、害になること。じゃないんですか・・・。すみません」
といったお答え。では改めて問うてみましょう。いったいリスクって何なのでしょう?
「ハザードマップは外れマップ」
前後しましたが9月7日は東京大学理学部小柴ホール、雨の中お運びいただいた多数の皆さんと熱気のこもった哲学熟議「地震・津波の科学と倫理」の場を持つことができ、本当にありがとうございました。
敬愛するロバート・ゲラ―東京大学理学部教授の充実したキーノートに続いて、九州大学の杉本めぐみ先生から、通常の日本の放送などでは絶対オンエアされない、インドネシア津波被災地のありのままの状況報告がなされました。
さらに文学部哲学科・一ノ瀬正樹教授から災害死の哲学と倫理の問いかけを踏まえて、本当に充実した時間をご一緒させていただきました。
なかでもゲラ―先生の「地震予知は科学的に不可能」「ハザードマップは予知研究者の予算獲得手段にすぎず、科学的には意味がない『外れマップ』」という明快かつ痛烈な大前提の指摘は、多くの方の心に残ったのではないかと思います。
そう、地震については「外れマップ」になりやすい「ハザードマップ」ですが、このハザードとはなんなのでしょう? 辞書を引いてみると
hazard【名詞】1【可算名詞】 危険、 冒険 2【不可算名詞】 偶然、運; 運任せ. 語源:アラビア語のさいころから
とあり、地震予知については作り手は「危険マップ」、ゲラー先生的には「運任せのでたらめマップ」ということになるのでしょう。