つい最近のニュースによれば、パリのホテル業者にとって今年はホクホクの夏であるらしい。例えば、「パラス」とよばれる超高級ホテルの1泊9000ユーロ(1ユーロ114円として約100万円)のプレジデンシャルスイートが連日埋まっているとの報道も・・・。
避暑のために石油の国から裕福な人が続々
顧客は、避暑のためにパリにやって来る石油の国々の人など、富裕な外国人旅行者。
もっとも、そこまで豊かな懐具合ではないにしても、このところのユーロ安は外国人にはかなり有利に作用しているに違いなく、また、それを当てこむ商売をしている人にとっても追い風に働いていていることは確かだ。
ところで、1泊100万円クラスからはだいぶかけ離れるが、1泊59ユーロ、追加料金一切なしという、とあるホテルが人気を博している。その名は「solarhotel(ソラーホテル)」。
パリ14区、中心部に出るにもさほど遠くなく、なかなか感じのいい住宅と商店が立ち並ぶ界隈にある。ちなみに、この場所は偶然にも、以前このコラムで紹介した子供のための高級お菓子屋さん「bogato」のご近所になる。
何ゆえこのホテルが人気なのかと言えば、まずはその価格設定。1人、あるいは2人の宿泊、朝食込みで1室1泊料金が59ユーロというのは、パリでそこそこ快適な居住環境を提供するホテルの値段としては格安である。
1つ星から5つ星まであるホテルの格付けで言えば、2つ星クラス。つまり高級感は望めないけれども、その立地、清潔感などからすると、2つ星の中でもかなりいいレベルを保っている。
ちなみに1人で泊まっても2人でも、朝食を食べても食べなくても、値段は変わらない。
「以前は、『hotel des Voyageurs(オテル・デ・ヴォワイヤジャー=旅人ホテル)』という名前でしたけれども、その時代から値段の割にクオリティーが良くて、しかもアットホームな雰囲気ということで、一切宣伝をしなくても口コミで評判になって、リピーターも多かったです」
こうオーナーのフランク・ラヴァルさんは語る。
彼はこのほかにもパリ市内にあと3つほどホテルを所有しているが、その経営者としての肩書のほかに、30年のキャリアのエコロジストであり、Ecologie Sans Frontière(エコロジー・サン・フロンティエール=国境なきエコロジー)というフランスのNGO団体のプレジデントも務めている。